今日は休日

おっとりと二度根してしまった。

昨日の営業はほんとうに、なんだかなァ、という感じだった。

一応、これでも魔術師ではあるから、タクシーの日には占星術的にどうかを確認、というのとタロットをやってから出庫するわけだが。

まず、占星術的には、コミュニケーションを持ちかけられるケースが多く、対人関係は円満、しかし、なかなか対話は成立しない、という暗示があった。

タクシーなんてお喋りが商売でもないから、まァ、円満だったら何でもいいのである。

ニコニコしながらハンドル握って、現場に到着したらいい。

それはよいのである。

問題はタロットのほうだった。

私がもっぱら攻めるのは烏丸、河原町、四条、御池。

いわゆる中心部エリアである。

ここでの営業は、

剣10破滅

すべて台無し、もうくっちゃくちゃ。

出庫やめようか

そう思うほどの嫌なカードである。

手堅く稼げる、と言えばあのあたり、とにかく数は狙える。

少ツキが悪くていいお客さんが当たらなくても、ワンメーター、ツーメーターの短距離を地道に積み上げたらそれなりの数字にはなる。

プロ的な仕事をひたすらやる場所である。

ここがダメ、と言われたら、やや博打風になる。

右京の銀閣寺から仁和寺の観光エリア、それから千本西陣周辺。

ここらは交通の便が悪い陸の孤島、その割に移動する人が案外多い。

中心部ほど数は多くないものの、乗ってくれたら一発は大きい。

もう何も言う気がしない。

残る選択肢と言えば、左京区の出町周辺、高野周辺から銀閣寺、南禅寺あたりか。

ま、しかないというのは正しくはない。

伏見、山科、下京も、その気になれるならそこまで悪くはないのだが。

道がややこしいし、渋滞もひどい。

醍醐、とか言われたら、正直、私はぞっとする。

あんなもの、新米の運転手の行くところではない。

従って、私に限った話、左京しか残っていないのである。

その左京は、

愚者

知ったことか

どうとでもなったらいい

ほんとうかしら、このタロット、ハズレなんじゃないの?

左京なんか流したってお客さんはまるでいない。

いたとしても、その行き先がごく近所、せいぜいが駅への送りか何かである。

1000円弱の仕事が1時間に1回あるかどうか。

左京って、病院や駅のタクシー乗り場での待機か、そうでなければ無線配車が基本だろう。

ウチの会社の無線配車なんか無いも同然であるから、無線営業はありえない。

そして、駅やらのタクシー乗り場は非常に極端である。

乗客数の多いところは雲助根性丸出しの個人タクシーの連中が仕切っていて実に面倒臭い。

逆に、1度並んだが最後、そこから抜け出せるのは2時間後、というようなおそろしくヒマなタクシー乗り場もやっぱり個人タクシーだ。

こちらはやる気のない枯れたおじいちゃんらが、老人会よろしく集まるところである。

雲助との付き合いは願い下げであるし、稼ぎが悪かったらこんな仕事をやる意味はない。

従って、タクシー乗り場はありえない。

左京で愚者?

タロットさんは私に死ねと仰るか、と失笑しながら出庫してみたところ、やっぱり左京は誰もいない。

暑すぎて人影がないのである。

ま、愚者なんだから、鑑定結果も無視してしまい、中心部に向かったところ、凄まじい渋滞。

お客さんを探すも何も、動けない。

その動かない私の車にお客さんが乗ってきて、裏道、裏道でどうにかやるわけだが、しまいに、ほんとうに最悪なことに、二度も続けて清水寺

あそこは最悪の渋滞ゾーンである上に、観光客が道路を歩行者天国だと勘違いしている。

四条河原町清水寺と言われたら、たぶん料金は1000円弱、清水寺エリアから脱出するのは40分後ぐらいかかるのではないだろうか。

これ以上清水寺を言われると売り上げがガタガタになる、とばかり、動けない中心部を捨てて右京へ行くと、やっぱり誰もいなかった。

暑すぎるせいで観光客も地元民もヘタってしまい、外へ出て移動しないのである。

北野天満宮に法人タクシーが個人と一緒に並んでいるのを見て私が意気消沈、そそくさと右京も見限り、フラフラと左京に舞い戻ってしまった。

すると、そこから変な具合だった。

わけのわからないところ、つまり、普通に考えて、こんなところにお客さんいてへんやろ、というようなところに行ったときほどお客さん。

そのお客さんが、これまた変なところ、そこへ行きますか、と思うような路地裏だとか、泣きそうになる修学院の山際の細い道だとか。

乗って来る人乗って来る人、そこは勘弁して欲しいというようなところを言う。

まァ、清水よりはマシ、とハイハイと走らせていると、その変なところへ行ったときほど、そこにお客さんが待っていてもう、説明のしようもないような、不思議な移動の数珠繋ぎ、である。

あんまりにも疲れるから、人目につかないところで隠れてタバコ、サボっているのにいいですか?近いんですけどと声をかけられ、また走る。

いいんだか悪いんだかよくわからないバカ当たり営業、渋滞はないし、スイスイと水揚げが上がった。

それはいいのだが、どれもこれも短距離、ものすごく忙しい。

どうでもいいのだが、ややこしい裏道をやっと抜け出した、と思ったらそこにお客さん、それがまたややこしい山奥、あるいは辟易とする狭い路地裏、抜け出したらまたお客さん、そういうのが15回ぐらい連続したろうか。

出庫からのマイナスをたちまち埋めたのは良かったのだが、そろそろ深夜メーターの営業を組み立てるか、と思うを前に人間も車もガス欠状態、それどころか、50枚以上持っていたはずの10円玉が8枚しかない。

本社に戻って両替、スタンドで給油、と思い、人のいない道、お客さんのいないところを選んで走るに関わらず、二回も三回もとっつかまり、そして、そのたんびに、なぜか皆さん、私の目指す車庫とは反対の方向を仰るのである。

おかげさんで食事をしていたら深夜メーターの時間に間に合わない、というところまで追い詰められてしまい、走りながらおにぎりを齧る羽目に。

終わってみれば、たぶん、昨日のトップクラスの成績だったろう、とい数字にはなっていた。

あんな滅茶苦茶な、というか、ボロクソに崩れた営業で、である。

昨日のタロットはよく当たっていたようである。