超短文249

ねぇ、キスして

突然そんなことを言い出した妻ウンスにチェヨンは驚いた表情で声をあげた。

どうした?突然

キスして欲しいの

妻ウンスの言うキスが何を指す言葉なのかチェヨンは知っている。

再会してすぐにその言葉の意味を彼女から教わったのだ。

以前は数えるほどしかしたことがない口づけだったが、その言葉の意味を知り彼女を妻にしてからはもう数えられぬ程に数を重ねてきた。

その柔らかな唇は正直言っていつだっていつまでだって口づけていたいものであるが、そんな風にせがむ彼女が何か心のうちに別の気持ちを隠している気がして、チェヨンは言われたからと言ってすぐに口づけをすればいいとは思えなかった。

してくれないの?

いや

ちゅ、と彼女を引き寄せてその額に唇を落とす。

が、それだけでは不満だったようでぷぅ、と頬を膨らませてそんな仕草ですら愛おしいと思うのだからチェヨンは我ながら呆れると自嘲していた夫を睨みつけた。

これだけ?

まさか

まるで夫を誘うかのように挑発するウンスに、チェヨンはニヤリと笑うと腰ごと妻を引き寄せて顔を上げさせゆっくりと口づけた。

初めはただ唇を重ねるだけのものを数回。

彼女の下唇を啄むような口づけを数回。

酸素を求めてうっすらと開いた唇にスルリと舌を忍び込ませ彼女のそれと絡み合わせ吸う。

チェヨンがやっと一度唇を離した時にはウンスの膝はガクガクと震え出し腰に回った彼の手の支えがなければ立っていられないほどだった。

ずるい

何故?求めたのはイムジャであろう?

俯くウンスにチェヨンが囁く。

意図的にではなかったのだが俯いた彼女の耳元に丁度唇が近づくため、弱いところを更に刺激してしまい彼女は更に立っている力を失った。

ウンスの腰に手を回したまま、まるで二人は優雅にダンスを踊っているかのようにチェヨンは彼女を寝台へと誘う。

ウンスは荒れた息を整える暇さえ与えられないままゆっくりと夫に寝台へ押し倒された。

貴方

拒否する言葉を聞きたくはないチェヨンは優しくはあるが容赦がない口づけで妻を蹂躙する。

ウンスにとっては激しいキスで酸素が不足しているのかぼうっとしているうちにいつの間にか衣を脱がされ白い裸身を夫の前に露わにしていた。

あっ、ああっ

なす術無く快楽の沼に溺れる。

ウンスは愛と呼ぶにはあまりにも激しい行為に意識を手放したのだった。

気を失った感覚はウンス自身にもあったがそれは割と短時間のことだったのか、彼女が目覚めたときは記憶にある寝台傍の蝋燭の大きさともさほど変わりがないようだった。

目覚めたか?

そう揶揄うように囁き額に口づけを落とす夫に、ウンスはやはりぷぅ、と頬を膨らませる。

こういうつもりで言ったんじゃないのに

そうか?妻が夫に寝台で強請ることは一つであろうに

違うわよっ

拗ねたように背を向けようとして、ウンスの夫がそれを彼女に許すはずもなく気が付けば再び組み敷かれるような体勢になっていた。

豊かな胸が急な動きでふるふると揺れている。

それを満足そうに見つめるとチェヨンはその頂にも幾度も口づけを落とした。

貴方!

これが欲しいのであろう?

私が言ったのはっ!

唇と唇だけがキスではない、そう言ったのはイムジャであろうが

そうだけど

そうムキになったように唇を尖らせたウンスだったが、ハッとして顔を上げた。

え?

ウンス?

いまキスって

え?ああ。言ったが

珍しい

まぁ、そうだな

ウンスの表情を見てチェヨンもようやく彼女の様子に納得がいった。

貴方は天界語を使いたがらないから

異国とまでは言えなくても自分が使い慣れている言葉ではないからな

ウンスから彼女がいた天界が遠い遠い先の世だということは聞いてチェヨンも理解している。

同じ場所にある国チェ家の先祖が高麗開国の功臣なのだから、高麗という国が興る前に別の国であったことは理解しているし高麗という国が終わりまた別の国の名前になることも頭では理解しているで話されている言葉だとしても正しく理解しているだろうか不安なまま使う気には彼にはなれなかった。

彼らの周りではウンスの影響からかちょっとした流行になっているとしても。

キスも高麗の言葉で口づけだの接吻だの言えばいい話で、普段は彼も滅多に使いはしないが、彼女があまりにもキスを連呼したせいかつられてしまったのかもしれない。

イムジャに口にするなとは言わん。だがよく知りもしない言葉を安易に口にするのは俺の性分に合わぬ故

うん、分かってる

そうか?本当に?

チェヨンは分かってると口ではいいながらもどこか寂しそうなウンスの顔を覗き込んで再度問うた。

分かってはいるの。でも、気軽に話せる相手がいなくて

イムジャが過去に言うた言葉ならば大体は覚えたが、俺に使えというのは

あ、そんなの強制はしないわ。ただ時使っていい?

ああ、勿論だ。イムジャ

なぁに?

は天界語でどう言うのだ?

え!??な、な、いきなり何を言うのよ!?

耳元で熱く囁いたチェヨンの言葉にウンスは真っ赤になった。

悪戯ッ子のようにチェヨンは食い下がり、どうにか教えてもらったようだ。

二人の秘密の合言葉のように後までずっと時折使われていたらしいが、ずっとずっと後になってヨンスが現代にやってきて以前なんとなく耳にした記憶があるその言葉の本当の意味を知り、思いっきり赤面したらしい。

わ〜い、空き番号埋め終了〜〜(

自分で自分を褒めてみるもともとミスしたのも自分だが

最後の言葉ですがに閨事といれようとしたのですが、天界語はワードだろうしいっそのこと伏せたまま、ということで。

他に何か言葉を考えていただければ嬉しいです

中途半端に掃除をしたらかえってベタベタ感がする気がする台所(ノ)

お盆を前にうちは旧暦なんでもう疲れ果てているでした。